@@@プロローグ@@@

俺はホワイト。このシティで「探偵」をしている。
と言うか・・・まあ、なんて言うか・・・「それしかできなかった」のだ。
元、司法関係だったが、あまりにその部署が腐りきっていて、自分から去った。
今の暮らしには満足していないが、後悔はしていない。
アパートの部屋は汚れていっているが、その分「心の汚れ」は去って行ったと思う。
@@@@市長失踪@@@@
俺が失業手当の受け取りから帰り、部屋に戻ると「シンディ」は居た。
「ちょっとお願いがあるの」
シンディは言った「新市長が失踪したの。あなたに探してもらいたいわ」
俺は、自分が市長に職を辞する時のシーンを思い浮かべていた。
市長は俺と同じ部類の人間だ。邪魔に思うやつが多い。
つまり「この街には希少な善人」だって意味だ。
市長は、選挙の時点から「中央からシティを浄化するために送り込まれた刺客!」とメディアで騒がれてきた。
ワルの多い市民には嫌われていたが、当選したのは「俺と同じ善人が意外に多かったのだろう」と思っったものだ。
だから市長には敵が多い。

@@@依頼主@@@
収入役の男は「浅黒い精悍な中年」と言った印象で、野心的な男と言われていた。
男は言った「私はアンディ。父は移民だった。私はこのシティで生まれ育った。
シンディとは古くからの知り合いだが、親しく遊んだという訳ではない・・・・・」
ストップ!シンディは収入役に「昔話はよせ」と言った感じで、話を遮った。
「関係ない話は良いの。ホワイトさんに市長の近況だけはなして。」
アンディ収入役は、シンディに頭が上がらない風で「すまない。市長は、郊外に家族と住んでいるんだが、
どうやら愛人が出来たらしくて、家にも帰っていない。そのうえ市庁舎に出勤していない。あんな真面目な人が・・・」
@@@調査@@@@
俺は、人が溢れでそうな煩雑な「シティ」で人を探す仕事を十年以上やってきた。
以前は「法と失踪者を守るため」だったが、法にも失踪者にも「敬意」を払えなくなってきたのだ。
この町の法は「悪人に有利に・善人に不利に」できている。
それに、この町では「悪人になった方が暮らし易い」と来ている。
愚痴を言っても腹がすくだけなので、聞き込みを始めた。
風俗店・バー・泥棒・ギャンブラー・マフィア・ギャング・・・本当にこの町には悪人が多い。
だからこそ「口が軽い」のだろうか?金さえ払えば何でも可能だ。以前は「それ」が嫌でしかたがなかった。
〜そう〜こう〜しているうちに・・・何とか市長と愛人を見つけた。
市長は若く・美しい愛人と「手に手をとって」あるビルに逃げ込んだ。
そこには「若く・美しい・素直な男女」がワンサカ居た。
芸能プロダクションなのだろうか?
美男・美女というやつらはどれも同じ顔に見える。
市長は、美女と別れを告げて、私と帰ると約束してくれた。
去り際に、美女に言った。
「人生がかわったよ。この数日は本当に生きた!という実感だ。ありがとう。」

@@@@この国のかたち@@@
郊外の警備が厳重な家の庭で、アンディから金を受け取っていたのはシンディだった。
俺も立会人として居た。俺は「市長の変貌」が気にくわずに、シンディにイヤミを言った。
「この国は、どこの町に行っても悪人が暮らし易いねえ!あねさん。」
シンディは、いじわるな笑みを浮かべて、説明した。
「それは『国が悪人を欲している』からよ。
悪人が少ない国、綺麗な国、クリーンな国はかならず滅ぶわ。
ジャパンという国をみれば良くわかるでしょう。
悪人は民間のなかで揉まれて、さまざまなアイディアを出し、さまざまな困難をクリアし、しかも税金を払っている。
善人がこの国に何をしたの?
綺麗事をならべては勝手に職場を去り、税金で暮らそうとしている。まるで寄生虫よ!
悪人ほど法を守るし、約束も守る。何年経っても「支払うべきものは支払う」し、「書類がなくても契約は命を賭けて守る」
クリーンで正直者が多い国ほど、簡単に潰れる。正直者は弱くてもろい・・・心が病んで、組織からはみ出して、
まわりに者に甘えて一生負け犬として生きるのよ。」
・・・俺は、思わず鼻をこすり、うつ向いた。
俺の負け!シンディの言うとおりだった。
俺は黙ってシンディの豪邸を去った。
@@@@エピローグ
アンディは頑丈な金属製のケースの蓋を開けながら、シンディに訪ねた。
「なぜ?あの時、私をタダで助けてくれたのですか?」
女は、現金に目が行き、喜びの表情を隠しきれなかった。
昔はお金が無かったあなたも、こうして私の一族に「返済」してくれたでしょう。
そおして、意味不明にこう言った。
「右利きの・金払いの良い者たち・のための制度なのです。」(和訳が変だったのだろうか)
二人にだけはわかった風であった。
父親が移民だったアンデイは、優秀だったが故に、シティの大物であるシンディの親から無償で援助を受けたのであった。
市長も変わった・・・依頼どおりの結末
明日から、この街はまた「暮らし易い街」になるだろう。